久米裕選定 日本の百名馬

ホリスキー

父:マルゼンスキー 母:オキノバンダ 母の父:オンリーフォアライフ
1979年生/牡/IK評価:3B

主な勝ち鞍:G1菊花賞、2着――G1天皇賞・春

▸ 分析表

ホリスキーのデビューは、3歳の1月、東京芝1600mの新馬戦で、18頭立ての10番人気であった。レースでは、中位のままで、まったく見せ場はなく、11着に敗れている。初勝利は、その後の2戦目のダート戦で、ここでは後続に9馬身の差をつける圧勝劇を演じている。その後も、芝ではダートほどの力を発揮できず、皐月賞後にようやくオープン入りを果たす。ダービーに駒を進めたものの、バンブーアトラスの9着に敗退。

夏を休養に当て、特別レース2着の後、すべり込みで菊花賞の出走権を得る。それまで特別戦勝ちすらなく、ただマルゼンスキー産駒であるということ以外、ほとんど注目される要素はなかったため、21頭立ての9番人気。

1番人気は、同世代で話題の中心的存在であったハギノカムイオー(父テスコボーイ、母イットー)。同馬は、皐月賞は惨敗したものの、秋になって神戸新聞杯、京都新聞杯を連勝、いよいよ良血が開花かと、期待を集めていた。ダービー馬バンブーアトラスは骨折のため引退しており、春の実績馬ではワカテンザン(皐月賞・ダービー2着)が2番人気に推されていた。

レースは、スピードの違いから、掛かり気味にハギノカムイオーが先頭に立ち、1000mの通過が59秒5とハイペースで進んだ。人気馬が好位を追走し、ホリスキーはスタートは後方だったが、外目から徐々に上位に進出。4コーナーでは、ハギノカムイオー、ワカテンザン、ハシローディらに並びかけ、断然の脚色で先頭に立つと、2着のパッシングサイアーに1馬身1/2の差をつけて、ゴールを駆け抜けた(ハギノカムイオーは15着。ワカテンザンは7着)。

これにより、ホリスキーは、クラシック出走権のなかった父マルゼンスキーの無念を晴らし、レコード(3分5秒4)のおまけつきで、3歳馬の実力ナンバーワンの座に着いた。ちなみに、このときのホリスキーの馬体重は516㎏で、菊花賞史上初の500㎏を超す優勝馬となった。大型馬にありがちな脚部不安から、菊花賞の後は10戦1勝と勝ち星にめぐまれなかったが、距離3200mの春の天皇賞では、4歳時はアンバーシャダイの2着、5歳時はモンテファストの3着と善戦しており、菊花賞の勝利がフロックでなかったことを証明している。。

《競走成績》
3~5歳時に19戦5勝。主な勝ち鞍は、菊花賞(芝3000m)、エイプリルS(芝2,000m)。2着-天皇賞・春(芝3200m)、3着-天皇賞・春(3200m)。

《種牡馬成績》
主な産駒は、ロンシャンボーイ(髙松宮杯、京阪杯)、ユキノサンライズ(中山記念、フラワーC、中山牝馬S)、シンホリスキー(スプリングS、きさらぎ賞)、ラガーチャンピオン(セントライト記念)、ストロングカイザー(セントライト記念)、ルイボスゴールド(東海ダービー)。中央・公営を問わず、ステークスウィナーを輩出した。派手さはないが、マルゼンスキーの後継種牡馬としては、もっとも良績をおさめている。

父マルゼンスキーは、持ち込みの早来産だが、当時は外国産馬扱いで、クラシックへの出走権が認められていなかった。戦績は8戦8勝。ラジオ短波賞では、後の菊花賞馬プレストウコウを、7馬身の差をつけて破ったことから、「幻のダービー馬」と称された。

マルゼンスキーの血統は、Menowの4×4を主導に、Bull Dog、Man o’Warのアシストで、母の父Buckpasserを強調した形態。当時の日本では見られなかった形態で、スピードの再現という意味では、まさに時代を先取りした血統構成といえた。その後、日本ではヤエノムテキ、海外でも英ダービーと凱旋門賞を制したラムタラが、このMenow主導型の血統構成として登場している。

このように、マルゼンスキーは確かにスピードは一流だったが、スタミナ面に弱さを持ち、適性はマイル~中距離が順当なところ。2,400mのダービーを勝つとしたら、スローペースなどの展開の利を必要とするタイプである。以上のことを、8項目で評価すると、以下のようになる。

8項目をチェックする以下の通り。

 ①=○、②=□、③=○、④=○、⑤=□、⑥=□、⑦=○、⑧=○
 総合評価=1A級 距離適性=8~11F

▸マルゼンスキー分析表

母オキノバンダは4勝馬、オークスではナスノチグサの4着に健闘している。自身は、Fairway(=Pharos)の5×4・4・5(中間断絶)を呼び水に、Captivation、Gainsboroughのスピード・スタミナを傘下におさめ、少ないクロス馬で比較的シンプルな血統構成を示していた。8項目評価は、次の通り。

 ①=□、②=□、③=○、④=△、⑤=□、⑥=○、⑦=□、⑧=□
 総合評価=2B級 距離適性=9~11F

父母のキーホースを完全には押さえていないが、包含される欧州系のスタミナ要素の質には見どころがある。

▸ オキノバンダ分析表

そうした両親の間に生れたホリスキーの血統は、主導がFairway(=Pharos)の6×5・5・6・6の系列ぐるみで、母の母メジロビーナスを強調した形態。オキノバンダ自身ではクロスしなかったPlucky Liege、Gay Crusader、Blandfordなどがクロスし、St.Simon-Galopin、Canterbury Pilgrimなどで主導と結合を果たしている。そして、これらの血を通じて、母の母内ガルカドール(英ダービー馬)など、さらなるスタミナが供給されている。ここが、ホリスキーの菊花賞制覇の原動力であり、ステイヤーたる血統的な根拠となっている。

それだけに、惜しまれるのが、マルゼンスキー内の米系の血、およびThe Tetrarchが欠落したことである。このために、マルゼンスキーへの配合としては、必ずしもベストとはいえず、ホリスキーが、スピードや決め手の面で、もう一つコンスタントに勝ちきれなかった要因であり、古馬となってあと一歩の成績に甘んじる背景となった。菊花賞のレコード勝ちは、当日の馬場状態と、ハギノカムイオーのハイペースによる結果と考えるべきだろう。

ホリスキーの血統構成を、8項目で評価すると以下のようになる。

 ①=○、②=□、③=○、④=□、⑤=□、⑥=○、⑦=□、⑧=○
 総合評価=3B級 距離適性=9~15F

ホリスキーは、当時圧倒的なスピードを誇っていたマルゼンスキーから出現したステイヤーということで、血統的根拠の説明はなされていなかった。I(IK)理論の見解に立てば、影響度バランスの①0④⑨が示すように、母内の欧州系のスタミナが優位となり、それが見事に再現されたということなのである。

つぎに、種牡馬としてのホリスキーを考察してみよう。米系のスピードに欧州系のスタミナを包含したホリスキーは、血の世代や配置の状況から、産駒の傾向は、マルゼンスキーよりも、オキノバンダの影響が強く出ることは予想された。したがって、配合のポイントは、オンリーフォアライフやガルカドールのスピード・スタミナを再現するためのキーホースを押さえることであり、繁殖牝馬も、欧州系の血を主体とした馬が基本となる。

■シンホリスキー
 ①=○、②=○、③=○、④=□、⑤=○、⑥=□、⑦=○、⑧=○
 総合評価=1A級 距離適性=9~15F

英ダービー馬Bois Rousselを主導に、Djebel、Hurry Onがスタミナをアシスト、スピードはムーティエから補給。スプリングS、きさらぎ賞を制しているが、本質はステイヤー。本領発揮までにはいたらなかったが、欧州の芝12Fも克服可能な素質を秘めた血統構成であったと、記憶にとどめておきたい配合である。

▸ シンホリスキー分析表

■ユキノサンライズ
 ①=○、②=□、③=□、④=□、⑤=□、⑥=□、⑦=○、⑧=□
 総合評価=3B級 距離適性=9~11F

BMSカラード内のヴェンチアが、マルゼンスキーと呼応。オンリーフォアライフや、母の母内ハードリドンも加わり、好バランスを保つ。牡馬を相手に、中山記念に出走し、メジロライアンを破ったことは、血統構成レベルの高さを実証している。

▸ ユキノサンライズ分析表

■バトルイニシャチブ
 ①=○、②=□、③=□、④=□、⑤=○、⑥=□、⑦=○、⑧=○
 総合評価=3B級 距離適性=9~12F

重賞制覇はないが、セントライト記念4着など、10戦して3勝。ファバージ全開の形態はみごと。故障が惜しまれた逸材。

▸ バトルイニシャチブ分析表

■ルイボスゴールド
 ①=○、②=○、③=□、④=○、⑤=○、⑥=□、⑦=□、⑧=○
 総合評価=3B級 距離適性=9~12F

BMSのSovreign Redは豪ダービーの勝ち馬で、その父Sir Ttrstam内のMan o’War、Princequillo、Djebelらが、マルゼンスキー内米系のスピードに、ホリスキー母方のスタミナキーホースとクロス。好バランスの血統構成を保つ。ナリタブライアンvs.マヤノトップガンの名レース阪神大賞典では、両馬の陰で印象は薄いが、公営ダートから、いきなり中央の芝3,000mに挑戦し、マヤノトップガンに次ぐ3着に入ったことは、配合の優秀性の証明といえる。

▸ ルイボスゴールド分析表

こうして、産駒の血統構成を検証し、振り返ってみると、ホリスキーは、欧米混合型の種牡馬として、欧州系のスタミナを再現する上で、地味ながらもすぐれていたということが確認できる。

最後に、ホリスキーの同期馬たちについても、簡単に触れておこう。皐月賞を制したアズマハンター、ダービー馬のバンブーアトラスについては、すでにこの「百名馬」シリーズで取り上げているので、ここでは、波乱となった菊花賞で、1番人気に推されたハギノカムイオーと、人気薄で2着にきたパッシングサイアー、そして3着のマサヒコボーイについて。

■パッシングサイアー
 ①=○、②=□、③=□、④=□、⑤=□、⑥=□、⑦=□、⑧=□
 総合評価=2B級 距離適性=10~12F

父ゲイサンは、フランスの二流中距離馬。祖母のデプスは、エリザベス女王杯を制したエリモシックの祖母でもあり、同一ファミリー。母デプグリーフと父ゼダーンの間に生れた半弟パッシングパワー(金鯱賞)は種牡馬になっている。当馬は、Bull Dogを主導に、Sanctusのスタミナに、米系North Starのスピードをアシスト。これぞとい決め手には欠けるも、当時としては珍しい欧米混合型で、実績通り、「混戰なだれ込み」といったレースで、着を拾うタイプ。

▸ パッシングサイアー分析表

 

 

 

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